モデル(横浜・石川町)
retroism〜article14〜
入り口のドアの前に立つとふと懐かしい気持ちになる。若い頃、友達または恋人と入った喫茶店と同じ匂いが漂っているからだ。30年以上の歳月を経て旧友と再会したかのような気分になり、入店する前から充足感でいっぱいだ。
創業当時からある、数字がたくさん並ぶ「これぞ」レジ
スター。「古いけど、こわれないのよねぇ」と白井さん
時とともに物事は変わる。そこにあらがって変えないように努力をする人たちもいる。変えちゃいけない。変えない良さもある。しかし、ここ喫茶「モデル」には、変えたくても変えられない事情があった。席を仕切るパーテーションは、一つひとつレンガが積み上げられている。だから、46年前、店が開店してから内装が変わらない。変えようと思ったら、店を壊すしかないのだ。
柔らかい光が店全体に充満する店内は、心の底から寛げる。流れる時間もゆったりだ