笑顔咲く、ハマの癒やし系 レトロな喫茶店

 その内装は業者に一括して頼んだ、と「いちおう代表」の白井みどりさんは笑顔で話す。「あたしたちの家族を見てもらって、あたしたちに合う、横浜っぽいお店を作ってって注文したのよ。そうしたらこんな店ができたの」。完成したのは、落ち着きはあるものの、明るく横浜らしい店だった。否定的な言葉は、創業者である親の雪江さんや共に店に立つ姉の洋子さんからも、客の間からも聞いたことがない。「横浜には、レンガのイメージがあるらしいのよ。だから、いっぱい使ったみたい。これタイルじゃなくて、一つひとつ積み上げてあるの。手間がかかってるのよ。いい時代だったんですかね」

壁にかけてある絵は、みどりさんの弟で
 り画家の卓(たく)さんの作品。ひまわりを
 思わせるテーブルとも絶妙にマッチしている

 テーブルの天板は、ひまわりをイメージした特注のイタリアンタイルを使用。そう言われて店内を見回すと、レンガもテーブルも、そして銅製のライトから落ちる光もオレンジ系だ。落ち着いていながらどこまでも明るく感じる。「あたしたちを見て、ひまわりをイメージしたのね。よくしゃべるしよく笑いうからかしら」。そう言って、白井さんは元気よく笑った。

話をしてくれた白井みどりさん。笑顔が素敵なお姉さまだ

 コーヒーの香りがふわりと漂う店内は、心底寛げる。理由はいくつかありそうだ。まず、ソファーが低めで、体が沈み込む感じが安らぎを生む。さらに、レンガのパーテーションから感じる息遣い。シーリングライトからは柔らかい光が降り注ぐ。そして何より、最近のよくある店が無意識のうちに放ってしまう「よそよそしさ」がまるでない。だからと言って押し付けがましくもない。ちょうどいい距離感が、店全体に漂っているのだ。「みなさんそう言ってくださるけど、理由はわからないわね。でも、働いてるあたしたちのほうがのんびりしてるからじゃないかしら。飲み物や食べ物を出した後は、私たちも端の席に座って、おしゃべりしちゃいますしね。悪く言えば、お客様をほったらかしです。かしこまってレジなんかに立たれたら、やっぱり落ち着かないでしょ」。みどりさんが微笑んだ。

モデルオリジナルのアイスコーヒー400円。見た目はごく普通
だが、味も香りも深い。夏はもちろん、冬でも飲みたくなる 

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