名曲喫茶ミニヨン(東京・荻窪)
retroism〜article165〜
静寂の店内。数多(あまた)のレコードが並んだ棚から選ばれた1枚が、ターンテーブルの上で回り出す。
「子供は珍しがって、回るレコード盤をずーっとながめてますよ」。確かに珍しいだろう
時には静かに、またある時にはにぎやかに、心地よいメロディーが店内を塗り替えていく。東京・荻窪にある「名曲喫茶ミニヨン」は、クラシックのレコードを聴きながら落ち着いた時間を過ごせるカフェである。
先代(代表)の千代子ママ。元々は学校の先生だったという
店を開いたのは、深沢千代子ママ(2005年4月逝去)。植物と音楽をこよなく愛する、天真らんまんな女性だった。。「可愛いと言うか、率直な人でしたね」。30年来の付き合いという現代表を務める小林眞理子さんがママと過ごした日々を懐かしむように思い出す。ママの音楽の好みは、もちろんクラシックだがジャンルに関しては幅が広かった。「彼女の好みは、中世ルネサンス、バロックまで広がっていました。当時、現代音楽の全集も所有していたほどでした。そういう意味では、柔軟性のある人でした」
カウンターの後ろの棚にずらりと並ぶLP。枚数も半端ない