真空管にこだわり25年 ロマンを売るメーカー

株式会社 トライオード(埼玉・越谷)

retroism〜article34〜

 経験を誰かと分かち合いたいと思う。それは喜びが何倍にも増えるからである。「トライオード」の創業者であり代表取締役である山﨑順一さんは、そんな思いから会社を興した。1994年のことだった。セパレートアンプも、創業当時から作り続けている。こちらはパワー・アンプ。天面にあるバイアス確認用のメーターでバイアス調整可能

 原点は、子供時代にさかのぼる。「もともと父親が警視庁の音楽隊にいたので、物心ついた時から音楽は身近にありました」 。高校生になるとオーディオにハマった。そこで、決定的な出来事が起こる。友達が自作した真空管アンプの音を聞いたのだ。「小さなアンプだったんですが、すごくいい音だったんです。その瞬間から真空管の音が忘れられなくなりました」

 音楽とは無縁の業種に就職したが、自作のアンプを独学で勉強しながら作り続けた。高品位の真空管やコンデンサーなどのパーツを求めて海外からも取り寄せた。一つ問題だったのは、1個だけの注文はできず、複数個購入しなければならないことだった。「余ったパーツを売るために、トライオードサプライジャパンという会社を作ったんです。それが、今のトライオードの前身です」セパレートのプリアンプ。4バンドイコライザーで好みの音場にコントロール

 もちろん、山﨑さんの心の中には、ただパーツを売って商売をしたいだけではなく、確固たる思いがあった。「世界中の人に、あの真空管の音を聞いてもらいたい気持ちは大きかったですね」

 勤めていた会社を辞めた山﨑さんは、オーディオの世界へと足を踏み入れた。名の通った会社だったが、辞めることに未練はなかったと山﨑さんは言う。「自分の好きなことですから迷いはありませんでした。悩んでもしょうがない、やるしかないと思いました」  最新作MUSASHIの正面。440ミリ幅のフルサイズ。配線系に余裕を持たせたことで、広大な空間と奥行きも表現する

コメント

  1. 町田 公彦 より:

    頑張って下さい。!!
    応援します。

    • SHIN より:

      町田様

      レトロイズム〜retroism visiting old, learn new〜をご愛読いただきありがとうございます。
      創刊して間もないですが、後世に残したいレトロな空間やモノなどを紹介する記事を配信していきたいと思っています。
      ご期待ください。

      レトロイズム編集長・SHIN