TOWER VINYL SHINJUKU(東京・新宿)
retroism〜article89〜
「レコードで音楽を聴く魅力は、自分と楽曲とのつながりの深さだと思います」
タワーレコード広報室の寺浦黎(れい)さんが言い放った。「実際に店に足を運んで自分で探した曲って、一生涯大事に聴くと思うんです」。棚の前に立ち、目的のミュージシャンのインデックスプレートの中からレコードを引き出しながらお気に入りの一枚を探す。盤面に傷がないかなどを確認して視聴させてもらい、購入して家に持ち帰る。その手間暇が、思い入れを増幅させるのだ。場合によってはジャケ買いも楽しい。「音楽にどっぷりつかってるっていう、承認欲求も満たされると思いますよ」
新しいものも含めて、その時々のお勧めの盤が壁一面に飾られている。さながらアートギャラリーのよう。レコードだからできることだ
タワーレコードがレコードに特化したショップとして、「TOWER VINYL SHINJUKU」をオープンさせたのは、2019年3月のことである。「私どもは、CDをメインに取り扱っていますが、全国の店舗ではLPも販売していて、ここ数年、どの地域でもレコードの売り上げが伸びていました。つまり私たちは、お客様のニーズを肌で実感していたのです」
棚に刺さっているレコードは宝の山。
自分だけの宝物を掘り当ててほしい
そこで、専門店として、新しいものや懐かしいものを全部ひっくるめて、良品をピックアップして客に勧められる店作りを目指した。場所も、音楽関連の店が数多並ぶ新宿を選んだ。日本参入当初は新譜の輸入盤の卸からスタートして、のちに新品譜CDの専門店となったタワーレコードだが、中古も取り入れていくことで客のニーズに応えた。
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