消えゆく正月の風習と非現実的な日常の光景

コラム其ノ拾弐(特別編)

retroism〜article88〜

 正月の風景には、懐かしいものがたくさんあった。平成、令和と時代が移ろい、それらは年を追うごとに姿を消しつつある。

 住宅街を歩けば、多くの家には門松が飾られていた。枝振りの良い一対の松にウラジロとゆずり葉、半紙を切った人形(紙垂=しで)が付いた輪飾りがぶら下げられていた。比較的立派な門構えの家には、3本の竹のまわりに豪華に松をあしらったぜいたくな門松が鎮座していた。(現在これが見られるのは、大きな会社やホテルの入り口ぐらいだ)。玄関正面の上部には玉飾り。しめ縄を輪の形に結んだものに紅白の締め、エビ、昆布など縁起のいいものをあしらう。昭和40年代ぐらいまでは、地元の鳶(とび)職人が手作りでこしらえていた。最近は、今風のものが、東急ハンズやAmazonなどでも売られているが、風格は昔のものにはかなわない。

門松と神様は、日本の年始においてまごうことなき象徴だ

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