古き良き風習「餅つき」「鏡餅作り」を懐かしむ

コラム其ノ拾伍(特別編)

retroism〜article235〜

 手がかじかんでしまう寒さの中で、温かそうなもち米が蒸される温かそうな湯気が噴き上がっていた。

 横には、杵(きね)と臼がスタンバイしている。母の実家は九州・佐賀県の田んぼに囲まれた集落の中の一軒だったので、広い庭があり、そこで一連の作業を行うのが恒例になっていた。正月の準備が本格化するのは、暮れの28日ごろだった。都会に住んでいた筆者は、子供の頃から正月の一大行事として餅つきの様子をほぼ毎年、ワクワクしながら眺めたものである。

 晒(さらし)を敷いた木製の四角い蒸し器の中で餅米が炊き上がった。2人がかり(祖母と伯母の担当だったと思う)で取り出し、一気に臼へと移すと白い湯気はさらに勢いを増した。蒸し上がった米のいい香りがあたりに広がった。正月の風物詩「餅つき」。昭和では各所で行われていたが、最近ではイベントなど以外ではほとんど見られなくなった

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