ARTS C SOUNDTRACK(東京・雑司が谷)
retrism〜article38〜
風車がのんびりと回る田園風景があり、サイケデリックで恐ろしい一場面がある。抱きしめたくなる可愛い絵だったり、ハッとするような一瞬を捉えた写真だったり、あるいはジオメトリックな模様、有機的で生々しいデザインも出てくる。あらゆるモチーフ、あらゆる技法が次々に登場する。平たく言えばなんでもあり。往年のレコードのジャケットには、グラフィックアートとしてのまばゆいほどの輝きが、確実に存在していた。
モデル事務所の代表の肩書も持つ店主の宮越篤さん。「ギャラリー」と自ら名付けた棚の前で熱弁を振るう
そんな魅力を切り口に棚を展開するレコード店が雑司が谷にある。「Art C Soundtrack」だ。店主の宮越篤さんは言う。「私はこの棚をギャラリーと呼んでいます。こんなこと私しかやってないと思いますよ」。棚をよく見ると、白いインデックスプレートに「JUKEBOX」だの「ANIMAL」、「FOOD」などの文字が書かれている。それぞれのグループには、ジュークボックスがカラフルな光を放ち、動物が登場し、食べ物がうまそうに描かれている。一般的にはアーティストの名前順やアルバム名ごとに並べられているはずのレコードが、ジャケットの絵柄で分類されているのだ。これはありそうでなかった陳列の仕方である。レコードの本質に迫る見せ方だとも言える。
「なぜならレコードの魅力はジャケットなんですよ。モノとしての価値がある。私は、その価値を高めたいと思ってるんです」。棚の切り方の根拠が、レコードの原点的な魅力と完全に一致している。説明を聞きながらレコードたちを眺めていると、まさに目からウロコが落ちる思いだ。
「ルパン三世」と「風の谷のナウシカ」は、アニメ好きをゾクゾクさせるラインアップ。この辺りもArt C Soundtrackの得意分野だ