真空管にこだわり25年 ロマンを売るメーカー

 三極管の可能性を探る山﨑さんの挑戦は、今も続いている。「これからの音楽は、アナログで聞くことが増えてくると僕は考えてます。音の情報量が圧倒的ですから。さらに、ハイレゾという音源が出てきた。音楽をダウンロードやストリーミングで買って聞くスタイルです。再生するために必要なのは、その情報量に対応可能なアンプです。今後はさらに、真空管らしさを残しつつ、アンプ全体の性能を上げてワイドレンジに対応していかなくてはなりません」

 そんな中、トライオードは「MUSASHI」と名付けたアンプを世に問うた。「現時点では、MUSASHIがひとつの到達点です。真空管の弱点でもあった、低音が緩んだ感じをほぼ解消してます。ベースやコントラバスなどの低音域は目覚めるほどクリアです。会社を起こして四半世紀、新たな真空管アンプの面白みが出てきたと自負しています」。実際に音を聞かせてもらうと、確かに音はクリアで広がりがあり、実に心地がいい。「大事なのは色気ですよ」と山﨑さんは強調する。

「作っているのは音を増幅する機械にすぎませんが、売っているのはロマンだと思っています。そう考え作ってきて25年たちました」

社屋の入り口には、お馴染(なじ)みのワイン色ロゴマークがくっきりと刻まれている

 今までも、オーディオ機器の中で増幅器の原始的かつ重要パーツとしての真空管にこだわり、独自路線で異彩を放ってきたトライオード。MUSASHIの出現で、今後はさらに目が離せない存在になりそうだ。

かぶしきがいしゃ とらいおーど
埼玉県越谷市袋山609-3
📞048-940-3852
http://triode.co.jp/

文・今村博幸 撮影・柳田隆司

コメント

  1. 町田 公彦 より:

    頑張って下さい。!!
    応援します。

    • SHIN より:

      町田様

      レトロイズム〜retroism visiting old, learn new〜をご愛読いただきありがとうございます。
      創刊して間もないですが、後世に残したいレトロな空間やモノなどを紹介する記事を配信していきたいと思っています。
      ご期待ください。

      レトロイズム編集長・SHIN