3313アナログ天国(東京・下北沢)
retroism〜article194〜
1960〜80年代のロック、ブラックミュージック、ポップスのレコードが1万枚!
京王井の頭線・下北沢駅から徒歩30秒にあるビルのやや急な階段を上がり4階へ。ドアを開けるとゆったりした空間にレコードが収納された棚が壁一面に広がっていた。あまり見慣れない光景に驚かされる。ジャズやクラシックを売り物にしている喫茶店などの多くは、カウンターにあるバックバーに備えられていて、基本的に客は直接触れることができないようになっている。
「当店は、お客様が棚から自分の聞きたい一枚を選んでリクエストができるシステムにしています。アーティストごとに分けてあるので、そこから探す楽しさもありますよ」。「3313アナログ天国」の店主・吉岡賢(まさる)さんの目が輝いた。
広々とした店内。ハンドドリップで淹(い)れるコーヒーの香りが心身ともにリラックスさせてくれる
オープンは2022(令和4)年11月3日。元々はレコード会社に勤務していた吉岡さん。その後ゲーム会社を設立したが、部下たちに「デジタル(ゲーム)はお前らにまかす!」と勝手に宣言。自分が持っていたレコードと共感してくれた友人のものを合わせ、さらに「一般社団法人アナログロックアーカイブプロジェクト」を立ち上げて寄付も募り、1万枚以上の価値あるLP盤をそろえた。60年代〜80年代のものがほとんどだ。「優れたレコードの多くは60年代から80年代にリリースされました。ビートルズしかり、その頃の音楽は斬新だし私たちを興奮させてくれた。『音楽の頂点、進化の大爆発が起きた』と私は思っています」。ちなみに店名の「3313」はLP盤の回転数331/3に由来する。アーティストの名前順にきちんと整理されている棚。レコードショップでお気に入りの一枚を探すような楽しさも味わえる