知識と経験を元に文字や写真で時代をつなげたい

古本センター(東京・吉祥寺)

retroism〜article219〜

 常に時代は積み重なっていく。まるで、地層のように少しずつ……。古本屋の棚の前に立つと、「現在」が過去の積み重ねの上に成り立っていることを強く感じるからだ。五十嵐さんはオカルトにも興味がある。「専門書店にも負けない本をそろえています」

 東京・吉祥寺にある「古本センター」は、駅前に広がる商店街の中に、埋もれるように存在している。しかし、店主の五十嵐剛志さんは、なるだけ入りやすいようにと、扉をとっぱらった。「夏はちょっと暑いんですが、だれでも気軽に入って、実際に手にとってページをめくってほしいからなんです」と不適な笑顔を浮かべた後、こう続けた。「何か面白いものが見つけられると思いますよ」

ここが入り口。客が入りやすいようドアの類いがない

 その言葉通り、比較的趣味性の高い本が棚を埋める。ジャンルは写真や絵画、映画関係、カメラ、マンガなどが中心だ。吉祥寺という「サブカル文化の発信地」とも密接に関係しているはずである。「特に映画関係は、若い方から年配の方まで『何か面白そうな本』を求めて来店してくださいます」

 基本的には、今という時代に合った本を選ぶようにしていると五十嵐さんは言う。しかし、どうしても、店主の志向は拭いされない部分があるのが、古本屋の宿命であり面白さだ。「自分が見て楽しいと思える本がどうしても多くなりますね。私自身が手にとり開いてみて、ピンとくる本を選んでしまいます」。同時に、誰かに読んでほしいと思える内容であることも重視している。古本センターのメインと言える棚。「イタリアの本は珍しい。常連さんはまずこの棚をチェックしますよ」。おすすめの2冊を手に説明する五十嵐さん

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