古本、古着、中古カメラ屋を巡るひそかな楽しみ

コラム其ノ拾玖(特別編)

retroism〜article177〜

 古本屋巡りは宝探しのようなものだ。

 よっぽどのロングセラーでない限り、本は絶版となり、倉庫に残ったものは断裁される。そうなると、買い手としてはやっかいだ。在庫が残っている本屋を探すか、古本屋を当たらなければならない。当然、新品では手に入らないため、プレミアがつくこともしばしばだ。

 手塚治虫の初期の代表作「ロストワールド 地球編、宇宙編」(不二書房)の初版本は現在でも十数万円(セットで20万円前後)はくだらない。同じく手塚の名作「ブラックジャック」の単行本4巻では当初収録されていた「植物人間」が19版以降は「からだが石に・・・」に差し替えられているのは有名な話だ。人権的な理由や人体実験的な描写からと言われているが本当のところははっきりしない。こちら葛飾区亀有公園前派出所の1〜6巻(初期)の作者は秋本治ではなく「山止たつひこ」(がきデカの作者・山上たつひこをもじったペンネーム)となっていて、これらもプレミアが付いている。ちなみに秋本治は、デビューする前の投稿で「岩森章太郎改め山止たつひこ」という長いペンネームでを使っていた。編集者の目に止まってほしいという理由からだったという。

神保町には数多くの古本屋が軒を連ねる。サブカル、古地図、歴史など店によって扱う分野が違う

 古本と言えば、アイドルの写真集も根強い人気がある。松田聖子や中森明菜など往年のスーパーアイドルたちの水着姿が拝めるのは、古本ならではの楽しみだろう。特に高額なのは蒲池幸子(ZARDの坂井泉水)の「NOCTURNE」(白泉社)だ。現在でも古本市場では10万円以上で取引されているから驚きだ。

 かつては、神保町、早稲田、本郷などの古本街を巡っていた。特に目当ての本がなくても、ワゴンセールで気になる一冊が見つかれば、なんだか得した気分になった。時には、ページに線が引いてあったりすることもあるが、かえって以前の持ち主の 思いが伝わってくるようで何だかワクワクした。