昭和27年頃の漁師町を再現 船宿や三軒長屋も

浦安市郷土博物館(千葉・浦安市)

retroism〜article199〜

 東京ディズニーリゾートのある街として、今ではすっかり有名になった千葉県浦安市だが、元々はアサリやハマグリ漁、ノリの養殖などが盛んな漁師町だった。そんな古き良き昭和の漁師町の歴史や当時の暮らしを体験しながら学べるのが「浦安市郷土博物館」だ。写真中央は漁師の家。市の指定文化財。奥に見える茅葺(ぶ)き屋根は江戸時代に建てられた長屋を移築したもの

 入り口を抜けるとすぐの大きなスクリーンとジオラマは、昭和30〜40年頃の干潟を再現している。美しい景色をバックに、真贋(まがん)が飛び交い、当時、実際に録音された鳴き声が響いている。テーマ展示室の入り口付近では、浦安の干潟映像が来場者を迎えてくれる

 見どころは屋内展示と野外展示の二つに分かれている。屋内展示では、漁師町から都市へと発展していった歴史が年代ごとに紹介されている。貝やノリ、魚漁の道具などの展示も素晴らしい。貝まき(貝を取る作業)に使われた柄のついたまき籠(かご)や貝むきの刃物、ノリ製造のための道具、ハス作りのための道具などが目に飛び込んでくる。「すべて当時のもので、漁師さんたちが物置にしまっていたものを提供していただいたものです」。学芸員の袖山早希絵さんが自信に満ちた表情を浮かべた。昭和の子供たちの遊び道具である駒や竹馬なども体験できる。ぜひ残したい文化だ