銭湯のち釣り堀!? 両者の深い関係とは?

 柳田さんは、すべての人に優しい。もちろん障害を持った人に対しても同じだ。車椅子用のスロープやトイレも完備している。「魚釣りは楽しい。人を選ばないところがまたいいんです。こういう人じゃないと釣りしちゃいけないなんて当然ながら全くありません。そこも銭湯と同じです。変にかまえる必要もないし、障害があろうがなかろうが、どんな人でも楽しめるんです」

大人しく人懐っこい飼い犬の「こうめ」。釣り堀のアイドルでもある。

 廃業してしまった風呂屋で釣り堀を営む意味も、大きいと柳田さんは言う。「もちろん、僕の本職だから、不具合があれば手を入れますし、今までも手を入れました。ただ基本的にはそのままで残してます。ピカピカにしちゃったら意味がないと考えています」

銭湯の入り口がそのままの形で釣り堀の入り口になっている。柳田さんの思いは、「残さなきゃいけない」という使命感とともにある

 大工としても、建物は残していくべきだと、柳田さんは考えている。「銭湯自体がどんどんなくなっています。これから銭湯を始めようという人がいたとしても、こんな建物はまず造りません。ビルを建てて、今時のスタイルにするはずです。だから、これを壊してしまったら、二度と見ることもできなくなります。僕は建築に携わる大工として、中も外もそのまま残さないといけないと思っているんです」

 銭湯で釣り掘。言葉で表すと一言だが、その意味は、想像を超えて深い。

はたのだいつりぼりてん
東京都品川区旗の台2-4-4
📞03-6426-9271
営業時間:午前10時〜午後7時 定休日:月曜〜金曜 営業は土、日、祝日
入場料:こども(小学生)600円 大人女子(中学生以上)700円
大人男子(中学生以上)750円 (高校生以上)900円、つきそい入場200円

文・今村博幸 撮影・岡本央

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