酒と泪とオヤジと若者 飲みニケーションの効用⁉︎

コラム其ノ拾参(特別編)

retoroism〜article211〜

 元号が昭和から平成に変わって間もない頃、ある喫茶店で高齢のママとコーヒーを飲みながら、とりとめのない話をしていた。やがて、かつて通っていた客と今の客の違いについての話題になり、ママはポツンと伏目がちに言った。「人と人との付き合いが変わっちゃったのかしらね」。ふと見せた寂しげな表情が印象的だった。人間関係が希薄になっていることは、多くの人が思っているだろう。ただ、人生を重ねてきた人が発する言葉の重さは違う。今でも筆者の頭から離れないのは、人生の大半を数えきれないほどの客と接し、積み重ねて来た人間の言霊だからだと思う。

 「飲みニケーション」というフレーズがちまたに流布していたことがあった。言葉の響きはちょっとダサくオヤジギャグに近い。しかし、知り合い同士、酒をくみ交わし、時には陽気に笑い、激論を戦わせるのは楽しい。アルコールは楽しい気分を盛り上げる効果があると同時に、心身を解きほぐしてくれるので、素の自分が出やすい。「人と人との付き合い」が酒の席から良好になっていくのが本来の姿である。

昭和〜平成初期の飲み会は「とりあえずビール(とりビー)」の注文後、「乾杯」の合図で始まるのがお決まりだった

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