古さと新しさが融合 社交場でハレの日に思い出を

 1階にあるメインバーには、童謡「大きな古時計」(原曲はアメリカのポピュラー・ソング)のような柱時計が残っている。初代本舘では、ロビーにあっった大時計を今は代々のバーテンダーが毎日文字盤にあるネジを巻く。「東京會舘ができて100年間休まずに、動き続けています」と、開店準備中のバーテンダーが誇らしげに説明した。ここのバーには、「會舘風ジンフィズ」という秘密のカクテルが存在する。連合国軍総司令部(GHQ)に接収され、「アメリカンクラブ・オブ・トーキョー」という店名だった頃、将校たちが上官に見つからないように、ジンフィズに牛乳を入れ「僕たちは牛乳を飲んでいるんだよ」と心の中つぶやきながら、言い訳ができるようにしていた。

2019年に改装した新しいバーには、古い椅子も残る。
 大きなのっぽの古時計が、片時も休まずに、時を刻む。
 ガラス扉を開けると、左下には毎日欠かさない、ゼンマ
   イ
を巻くネジの姿が。大事なものだけに収納台付きだ   

 このように、東京會舘には初代〜2代目の装飾品が残っているが、圧巻は重さ1㌧のシャンデリアだ。らせん階段に囲まれるようにつるされていて、斜め方向には、鏡が備えられている。「初代の大広間に3基のシャンデリアがあって、残ったのは1基。かつての面影を残すために、三つに見えるように鏡を置きました」。非常に珍しいのは、目線の高さでシャンデリアが見られることである。「部品を一つずつ磨き直して修復し、耐震性を補強して、皆様にご覧いただける場所につり下げました」 

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