レトロ建築探訪其ノ肆

安与ビル(新宿)


(上)正面に見えるのは、八角形のベランダの一部で22.5度ずつずらして積み上げられている。凝った作りだ。1968(昭和43)年の以来ひときわ人の目を惹(ひ)きつけている。(中)ルミネエス新宿前のロータリーにある、ピカピカに光るオブジェ越しに見る安与ビル。今昔の対比が面白い。(下)安与ビルの名前は、新宿東口にあった料亭や旅館を経営し、伊勢丹デパートを誘致させた実業家だった安田与一から来ている。父である与一の功績をたたえるために安田善一が築いた記念碑的建物である。設計は早稲田大理工学部教授を務めた明石信道

宮崎県東京学生寮(九段下)

(上から順に)①ル・コルビュジエに師事した坂倉準三が起こした坂倉準三建築研究所(現坂倉建築研究所)の作品。1972(昭和47)年に建設。モダニズムを実践した建築家でもあった②エントランス前は、広々とした空間が用意され、造形的にも興味深い作りになっている。老朽化のため建て替えが決まり11建手のビルに生まれ変わる予定③2棟で構成された学生・職員用の住宅施設。建物の下部がフレアスカートのように広がっているのが特徴④木製の表札が時代がかっていて、近代的な建物とのコントラストが面白い

静岡新聞・静岡放送東京支社ビル(銀座)

(上)設計は丹下健三。完成は、1967(昭和42)年である。当時流行した丹下得意の「メタボリズム」の手法を駆使して造られ、今以上に人々を驚かせたに違いない。と新橋の境目あたりに姿を現すビルの全景は、二度見するほど美しく個性的だ(中)見る角度によって、多彩な表情を見せるビルなので、訪れたらぜひ周囲をぐるっと歩いてほしい。銀座歩きの楽しさが広がること間違いなしだ。真下から見上げると、コンクリートでできた樹のようにも見える。(下)静岡新聞・静岡放送の東京支社であると同時に、山梨日日新聞・山梨放送東京支社も入居する