艶やかで風雅な空間で夢見心地な1日を味わう

ホテル雅叙園東京(東京・目黒)

retroism〜article242〜

 絢爛(けんらん)豪華な装飾美に思わず息をのむ

 黒漆に蝶貝をはめ込んだ螺鈿(らでん)細工、華やかな美人画、花鳥画、浮き彫り彫刻などで装飾された館内は艶やかで優雅な空気に満ちていた。

ホテル雅叙園東京の前身・目黒雅叙園の装飾を移築、再現した和室宴会場玄関

 原点は、東京・芝浦にあった純日本料亭「芝浦雅叙園」である。創業者の細川力蔵は努力の人だった。15歳で上京した後、神田の銭湯で丁稚(でっち)奉公として働き始めた。三助として客の背中を流しながら、客の話から多くの情報や幅広い知識を習得し、人脈も広げていった。マーケティング部の支配人・旭岡志乃さんが解説を加える。「人柄もよく付き合い方を心得ていたのだと思います。商才も持ち合わせていたと言われております」1階廊下に連なる一見絵に見えるのは、実は木彫刻。旧目黒雅叙園2号館から移設した

  23歳で自分の銭湯を開業。25歳になると銭湯経営に続いて、コークス製造業や不動産業などに手を広げることで財を成し、実業家として成功を収めた。1928(昭和3)年、39歳の時に、芝浦にあった自宅を改装してできたのが、伝統的な日本料理に加えて、本格的な北京料理も供する「芝浦雅叙園」だった。そのおいしさをもっと広めたいと考えた細川は、目黒に新天地を求める。大きな彩色木彫板が並ぶ。アーチ形の回廊を彩る豪奢(ごうしゃ)な装飾に圧倒される