贅の極みを尽くした「欧州の古城」で昭和に浸る

古城(東京・上野)

retroism〜article153〜

 憧れを形にする。そんなロマンチックな発想で作り上げられた喫茶店が東京・上野にある「古城」である。

照明を落とした店内で豪華な光を放つステンドグラス。全て焼きを入れて作った本物だ

 オーナーの松井京子さんは、父親(松井省三さん)が作った店を見回しながら話し始めた。「父は、昔からヨーロッパに憧れがありました。そこで、欧州の古い城や寺院をイメージした内装の喫茶店を資料に基づいて、自分のイマジネーションで作り上げたのです」。建材には全て本物、上質な素材が集められている。例えば、太い柱や壁は大理石、または、大理石の皮石が使われた。「古城だから大理石を使わないと雰囲気が出ないでしょう?」

籐(とう)のソファが優しく体を受け止める。椅子から立ち上がって店を出るのをついつい先送りしてしまいたくなる

 ビジュー(宝石)で飾られた個性的な形のシャンデリアが淡い光で店内を照らす。所々に備えられた楕(だ)円形の照明も雰囲気を盛り上げる。籐で縁取られたソファは、客に思う存分寛いでもらうためだ。「全てが本物じゃなくちゃダメなんです。父はそういう人でした」直線と曲線で構成されたシャンデリア。形もユニークだ

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする