素朴で懐かしい60年代のケーキが自慢の老舗

 例えば、生クリーム。凝った感じはしないが、すんなりと食べられるのは、かつてどこかで食べた懐かしい味だからだ。「材料を仕入れるのは、戦前戦後から付き合っている業者さんばかりです。業者さんを大事にする重要性は、父に教わったことです」


市村さんの兄、裕史(やすし)さんも、腕のいいパティシエ。その丁寧な仕事ぶりは、ここのケーキはを食べれば誰もが納得だ

 ショーケースに並ぶのは、ほとんどがオーソドックスでクラシックなケーキだ。「ちょっと挑戦した時期もあったんですけど……」と市村さんがはにかむように笑う。「当店のお客様は、昔ながらのものを求めていらっしゃる方が多いと思います。最新のものはデパートで買います。そこは上手に使い分けくださってると思います」


右がボストン。上に描かれた模様がトレードマーク。奥が、見かけが個性的なモンブランは、クリの風味がたっぷりだ

 浜志“まんの美味しさは、スポンジと生クリームにある。特に、生クリームに関しては、上質な素材へのこだわりが強い。生クリームを作る際、プロは少量の酒を加える。甘さにキレを与え、卵やバターなどの乳味をマスキングし、粉っぽさを軽減して口当たりを滑らかにするだめだ。一般的には、製菓用のリキュールなどを使うところが多いという。しかし浜志“まんは違う。「コニャックを使います。ブランドはヘネシーです。少量ですが、食べた時に大きな差が出ます」


代表取締役の市村聡史さん。和菓子屋だった当時の法被を来てくれた

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