ヤマト、ガンダム、エヴァの功績と遺産

コラム其ノ拾産(特別編)

retoroism〜article 〜236〜

 今日、アニメが世界に誇る日本文化の一つであることに異論を唱える人はほとんどいないだろう。

  SFアニメといえば、宇宙戦艦ヤマトを抜きには語れない。時は西暦2199年。異星人国家・ガミラスにより放射能に汚染された地球を救うべく14万8000光年離れた惑星イスカンダルに除去装置「コスモクリーナーD」を取りに行くというストーリーだ。放送開始は1974年10月6日。裏番組の「アルプスの少女ハイジ」「猿の軍団」などに押され平均視聴率が6%と低迷した。当初は全39話を予定していたが26話で打ち切りとなった。その後、再放送で話題になり、テレビアニメを再編集した劇場版が77年に公開されたことで一大ブームを巻き起こした。

 放送当時は子どもであった筆者だが、波動砲やワープ、アステロイドベルトなどの聞き慣れない言葉に興奮した。特に「人類滅亡まであと◯◯日」というナレーションは衝撃的だった。西遊記を下敷きに映画「ポセイドン・アドベンチャー」や「日本沈没」などに影響を受けたというストーリーもさることながら、繰り広げられる人間ドラマも見応えがあった。宮川泰が手がけた劇中で流れる音楽も素晴らしく、劇場版のサウンドトラックは38.6万枚を売り上げ、2014年に「アナと雪の女王」に抜かれるまで「アニメ映画サントラ部門」歴代1位だった。

 後述する「新世紀エヴァンゲリオン」の原作者・庵野秀明(放送当時は庵野が所属していた制作会社GAINAX原作)や同社初代社長でオタキングこと岡田斗司夫など同作品に影響を受けた人々を挙げればキリがない。自称「世界一のヤマトファン」という庵野は、プロデューサーの西崎義展との雑誌対談で「ヤマトがなかったら、今の自分は無かった」と語っている。「アニメ=子どもが見るもの」という固定概念を覆した功績は計り知れない。その後、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」「宇宙戦艦ヤマト2」「ヤマトよ永遠に」「宇宙戦艦ヤマト3」「宇宙戦艦ヤマト完結編」「宇宙戦艦ヤマト復活編」と続編が製作され、後にリメイク作品「宇宙戦艦ヤマト2199」「同劇場版」「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」「同劇場版」やスピンオフ作品宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟なども製作された。

 
手前が宇宙戦艦ヤマト、奥が地球防衛軍の新造戦艦アンドロメダ。ヤマトを凌ぐ性能に加えてデザインも秀逸だった