ヤマト、ガンダム、エヴァの功績と遺産

 ヤマトが70年代、ガンダムは80年代を代表するSFアニメだとすれば、90年代を象徴するのは「新世紀エヴァンゲリオン」にほかならない。

 使徒、ロンギヌスの槍、死海文書、人類補完計画、ATフィールドをはじめ意味不明の単語が並び、ストーリーは極めて難解だ。細かい説明は割愛するが、ざっくりいうとこうだ。西暦2000年に未曾有の大災害・セカンドインパクトが起き、人類が半数になった。やがて、使徒と呼ばれる謎の生命体が地球襲来する。主人公の14歳の少年・碇シンジが汎用型人型決戦兵器(人造人間)エヴァンゲリオンに乗り使徒と戦う。

 初回放送は95年10月4日。平均視聴率は7.1%とパッとしなかったが、前2作同様に再放送で火がついた。シンジをはじめ、心に傷をもった登場人物たちを描き、終末論なども取り入れ、ジワジワと浸透していった。美少女キャラの綾波レイと惣流(式波)・アスカ・ラングレーが人気を二分した。以前はレイのほうが人気があったが、近年ではアスカがリードしているという。個人的にはレイが好みだった。

 ヤマト、ガンダム以外にも、庵野が影響を受けた作品は多く、エヴァは、ウルトラマン、デビルマン、伝説巨神イデオン、風の谷のナウシカなどを参考にしたと言われている。放送当時、オタクたちはエヴァに熱狂した。何よりも衝撃的だったのはラスト2話(25、26話)だ。伏線も回収されないまま、意味不明な結末に視聴者は大いに戸惑い、物議を醸した。筆者もハマったひとりだが、ビデオに録画したテレビ版を何度も見直し、解説本を読みあさったが、結局は「おそらくこうだろう」という推測で解釈するしかなかった。

 その後、テレビアニメ版をまとめた「新世紀エヴァンゲリオン劇場版シト新生」、ラスト2話を補完すべく「新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air」「新世紀エヴァンゲリオン劇場版まごごろを、君に」が上映された。また、この二つを部分的に組み合わせた再上映作品「新世紀エヴァンゲリオン劇場版DEATH(TRUE)2/Air/まごごろを、君に」が公開されたが、いずれも分かりにくい内容だった。筆者も劇場に何度も何度も足を運んだが最後まで納得のいく答えは得られなかった。2007〜2021年には、テレビ版と旧劇場版をリメイク・再構築した「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「「ヱヴァンゲリヲン新劇場版Q」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:||」が製作された。

エヴァンゲリオン初号機。ロンギヌスの槍を飛ばした直後のポーズ