名物は「スパピザ」 幼少の記憶が蘇るハマの老舗

ザ・ホフブロウ(横浜・山下町)

retroism〜article214〜

 老舗のレストランを取材すると「『子供の頃、親に連れられて来たことがある』という客も少なくない」という話をよく聞く。そこには、郷愁とか懐かしさがもちろんある。しかしその奥には、体の中から湧き起こる過去の体験が呼び覚ます感情が、自然と店に足を向けさせる。心の中に積もった、かけがえもない宝物のような場所をもう一度訪れてみたい欲求があるのだ。名物「スパピザ」。開業当初から続く名物だ。素朴だがハマる味。昔はもっと量が多かったというが、それでも1人で食べればお腹いっぱいになる

 港町・横浜にある「ザ・ホフブロウ」も、そんなことを感じさせてくれる老舗レストランだ。終戦から2年後の1947(昭和27)年に、フィンランド人によって創業した。内装デザインは、ノルウエー人が手がけたという。それが理由なのか、初代オーナーの意向なのか、凝った作りの店内は、ビアホールのようであり、レストランのようでもある。店内に足を踏み入れると、懐かしいような不思議な心地よさに包まれる。歴史を重ねた店が持っている、落ち着いた雰囲気のおかげかもしれないが、「和みと食事のワクワク感」が空間に広がっているのだ。


(上))テーブル席とカウンター席を仕切られている壁に飾られている浮き輪。港の雰囲気を盛り上げてくれる(下)壁は浮き輪の形にくり抜かれている。のぞく人はあまりいなそうだ

 「ホフブロウ」はドイツ語で醸造所の意味をもつ。店長の遠藤和浩さんが話を切り出した。「ドイツに『ホフブロイハウス』という有名なビアホールがあって、そこに憧れて名前をつけたみたいです」。本家は、創業が1589(天正17)年とかなり古い。しかも国立で、ホフブロイハウス醸造会社直営のビアホールだ。いまだに、おいしいソーセージが味わえる、本場のビアホールである。奥行きのあるカウンターバーでは、酒を飲むもよし、食事をするのもよし。バー好きはこの席が一番落ち着くのだ。ビールの注ぎ口はサックスの形になっている

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