名物は「スパピザ」 幼少の記憶が蘇るハマの老舗

 歴史ある店ということもあり、オーナーも代々変わっている。名物店長も現れた。一番有名なのは、創業当時からいた(現在は引退している)口の悪いおばちゃん・ケイティさんだ。「お客様にもズケズケものを言い、『もう食べられないなら、残しなさい!』なんて平気で言う人だったみたいです。昔は、先ほども言ったように、1人分の量が半端なかったですからね」今ではごく当たり前になったが、ナイフとフォークで食べる食事は、当時の日本人にとって特別な意味があったのだろうと思う

 現在の料理は、ベースはドイツ系。生ビール2種類。自家製のソーセージ、元々はオーストリアの郷土料理だがドイツ料理の要素も兼ね備えたウィーナー・シュニッツェルも供する。洋食では、懐かしい味のデミグラスのかかっているデミカツも人気だ。さまざまな道を経て、現在に至るが、昔の味や雰囲気をきちんと残しているところは、称賛に値する。生ホフブロイラガー。ビール好きは、この時点で
 喉が鳴ること間違いなし。コクはあるが飲みやすい

 「今、いろんな名店がなくなっています。中華街の老舗バー・コペンハーゲンさんも、正面から見ると、当時のタイルが残っていて懐かしいけど、中国料理店に変わりました」。遠藤さんは一息ついた。「横浜って、異文化が入ってきた玄関でした。その当時に入ってきたものは残さないといけないんじゃないかと。それが港町・横浜なんじゃないかなと、多くの人が感じていると思うし、当店で働く僕たちも同じです」

取材時、トニー・ベネットとダイアナ・クラールが共演したアル
バム「Love Is Here To Stay」がかかっていた。渋いチョイスだ

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