時刻表に詰まったロマンと憧れを私設博物館に

 メインの展示室には、列車関係の本や資料と共に、創刊号(復刻版)があり、B6判だった頃から1967(昭和42)年にB5判へと大きくなった時刻表がずらりと並ぶ。現在ある839冊(取材時)で本棚は埋め尽くされている。「61(同36)年から、1号も欠けることなくそろっています」と鈴木さんは満足げな笑顔を向けた。

写真左は、時刻表の創刊号(1925年4月号)の復刻版。右は、33(昭和8)年当時のままの時刻表。当然ボロボロだ

 古いものから新しいものまで繋がっていること自体に深さを感じる。時代の変化によって、昔走っていた列車がなくなったとか、廃線になったり、新たに開通した路線もある。「巻頭にはグラビアとか、読み物、広告とかが載っています。お弁当やお土産の広告、それを読むだけでも興味深い。時代ごとの変遷を感じ取れるからです」。毎月買っていた理由は、他にもあった。「巻末に読者のページがありますが、同じような楽しみ方をしている人の投稿を見て共感したり、そのことが胸にしみるんです」

ホームにある出発反応標識。点灯時は青信号で「ドアを閉めてOK」の合図。消えている時には赤信号だ

 ダイヤの改正は、1年に1回(不定期に2回)なので、内容はほとんど変わらないが、夏や冬に走る臨時列車の情報が載っている。そんな時は、鈴木さんならではの楽しみ方がある。「臨時列車で旅する人、故郷へ帰る人のことを想像すると、ロマンチックな気分になれます」。鈴木さんは満面の笑顔になった。

「時刻表神社」の前に座る鈴木館長。時刻表の話をする時、うれしそうな表情になる。下の棚の白い物体は、0系新幹線の「ツノ」(静電アンテナ)の実物