レトロ自販機が107台「シュポ」と栓抜き体験も

 もう一つ筆者の心に残っているのは、同・祖師ケ谷大蔵にあった、カップヌードルの自販機だ。これは、いとこと一緒にスイミングスクールに通っていた頃の思い出だ。お金を入れると、元祖カップヌードルが落ちてくる。上から太めの棒が下がってきてふたに穴を開けてお湯を注ぐ。その動作が面白くて、よく中をのぞいていたものだ。

(上)かつてはどこにでも置かれていたガムの自販機。
最近はとんと見かけなくなってしまったが、あったら
   便利だと思う(下)「チウインガム」という呼び方が昭和だ 

 子供の頃たむろしていた場所のナンバーワンは、駄菓子屋だったが、中学生ぐらいになると、物足りなくなってくる。温かいもの、腹にたまるものへと興味が移っていく。そこで登場したのが、カップヌードルやうどん、そばの自販機だった。そんな調理機能付き自販機の登場は、子供にとって大事件とまで言わないまでも、中くらいの変革だった。しかし、改めて自販機を眺めると、懐かしさを禁じえない。遊びや習い事、塾などに行く前の腹ごしらえの楽しい時間を提供してくれる機械だった。昔見た風景がよみがえり、当時の生活が鮮明に思い起こされる。これは、他の「懐かしいモノ」と出合った時とは少し違う感覚である。ささいではあるが、心に刻まれた風景がまぶたの奥に広がっていく感じなのだ。

ラーメンが食べられるのもうれしい、チャーシューやナルト、メンマが入った昔ながらの本格派だ 
 
その理由は、齊藤さんの強い思いがあるからに違いない。「うちに来る機械は、ほとんどが壊れたものです。それを僕が一つひとつ直してから並べています」。部品も少ないという。「そんな時には、自分で作っちゃいます。うちは中古タイヤが専門なので、工具などはそろってますからね」。昭和の頃は、すべてが「機械式」だったので、作りは単純。しかし故障した時、その箇所を見つけるまでは、かなり手間を要するが、見つけてしまえは、修理は比較的簡単にできると齊藤さんはほほえむ。

昔のたばこ屋が再現されている演出もなかなかニクイ。ちなみに、たばこは売っていない

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする