伝説の歌声喫茶復活! 歌う楽しさ共有、一体感も

 「最初のブームは1950年代半ばから60年代ごろと聞いてます」。店長の齊藤隆さんが柔らかな物腰で説明する。「当時は、歌謡曲、ロシア民謡も人気があったし、労働組合運動が盛んだった社会的背景もあり、労働歌もたくさん歌われていました」

入り口はガラス張り。齊藤さんいわく、「お客さんに安心して入ってもらえるように」とのこと

 当時、多くの人間が集まって歌う行為は、運動にまで発展していた。声楽家・関鑑子(あきこ)が創立した中央合唱団の活動が本格化した。三本柱として「美しい日本民族のうた、世界諸国民の平和のうた、人々の生活とたたかい」を掲げていたが、そんな中で生まれてきたのが歌声喫茶だった。「地域のサークルなども各地で現れて、『みんなで歌うこと』が大流行していきました」  

ピアノの音色は、ともしびで歌う楽しみを何倍にも盛り上げる。歌詞が表示される壁のモニター画面が反転して映り込んでいるいるのが面白い 
 時は流れ、海外の個人主義的な発想が日本にもまん延する。資本主義、経済主義の流れの中で、とにかく豊かになるために人々は休みなく働いた。「他人事」に構っている余裕が薄れていたのかもしれない。
それでも戦後は平和で誰もが幸せな時代になった。東日本大震災が来るまでは。そこで、日本人は「人の繋がりや絆の大切さ」に改めて気づくことになる。「それとリンクした部分が、店の中の雰囲気にもありました」。齊藤さんがしみじみと語った。


年季の入った譜面台が店の歴史を物語る。「と
もしび」と書かれているのがなんだか可愛い 

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