伝説の歌声喫茶復活! 歌う楽しさ共有、一体感も

 基本は相席。隣同士に座った客同士で、「いい歌ですね」などと話が弾み、自然に交流が生まれる。歌を共有することで、ここにいる人たちの心が繋がって一つになっていく。媒介になるのが歌であり、メロディーがあって、歌詞がある。つまりは歌の力である。「コンサートでも、みんなで歌うことがよくあるじゃないですか。その一体感に近いと思います」。店内を見渡すと、それ以上の密度で、客同士が一つになっているのがわかる。さまざまな客が訪れ、歌が上手い下手は関係なく一緒に歌えるところがなんと言っても魅力なのだ。喫茶といっても、チーズなどのつまみやアルコールも用意してあるのがうれしい

 齊藤さんには夢がある。「昔から来てくださっている方が多いこともあって、お客様の平均年齢は高いんです。70代以上の方が中心です。でも、僕としては、若い人たちにもこの雰囲気をぜひ味わってほしいと願っています」。彼らにも受け入れてもらえるように、昭和後期とか平成前期の曲をレパートリーに加えたりしている。「昭和後期の歌謡曲は、今の若い人たちも知っているようです。最近は、実際に足を運んでくださる若者も増えてきています。ここに足を踏み入れるのに勇気がいるのかなとは思いますが」と齊藤さんは笑った。

リクエスト曲のベスト18は、曲を選ぶ参考に。
この中だったら、筆者は「百万本のバラ」を選ぶ 

 「僕らの時代(60〜70代前後)だと、フォークソング。吉田拓郎とか井上陽水、かぐや姫。そんなフォークのイベントもやろうかなと計画中です」。真剣なまなざしで齊藤さんは言う。「昭和の時代に生まれた歌声喫茶という文化を新しい世代に受け継いでいきたい。僕の願いはそこにあります。ともしびに来て、みんなで歌いたいという人が増えてくれれば本望です」。それは決して逆戻りではない。現実としての満足感である。「お客様全員が一つになって歌った時に感じるエネルギーはすごいですよ。帰る時に『元気をもらった』って言っていただけることもよくあります」と齊藤さんは少し得意げに目を細めた。

客の前で歌って、客をリードするスタッフ。完全にプロの歌声だ!

 ともしびで感じるのは、老若男女が歌える場所が消えてしまうことの寂しさである。だからこそ、未来へ繋いでいくためにも、ともしびが再開した意味はとてつもなく大きい。

うたごえきっさ ともしび
東京都新宿区高田馬場2ー14ー9 アティレビル1F
📞:03-6233-8381
営業時間:昼のうたごえ 午後2時〜(水、木、金、土)
夜のうたごえ 同4時40分〜(火、水、木、金、土、日)
定休日:月

https://tomoshibi.co.jp/utagoe-cafe

文・今村博幸 撮影・JUN

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