伝説の歌声喫茶復活! 歌う楽しさ共有、一体感も

 続いて、新型コロナウイルスが世界を席巻する。三密がダメと言われて、ギュウギュウなところで食べて飲んで、歌を歌うなどという行動は禁忌とされた。そんな時期と、入居ビルの建て替え(契約期限終了)も重なり2020(令和2)年9月にいったん新宿の店を閉める。その後、常連客など延べ3000人以上から約6000万円もの支援募金が寄せられた。22(同4)年11月には現在の高田馬場の店に移して2年ぶりの復活を遂げた。セーターに緑のシンプルなエプロンをつけたスタッフは、肩肘張らないカジュアルさで好感度大だ

 「でもね。コロナになってまた僕らは気がつくんです。生の人間のふれあいとか、心が通ったり、交流することが、すごく大事だなって認識させられたと思うんですよね」。同じ空間の中で、交流したり、みんなで声を合わせて歌う歌声喫茶は、その「大切なこと」ができる場所を提供している。ほとんどの客が持ってくる歌詞本。1年でボロボロになるという。これも客にとっては勲章のひとつだ

 伴奏は、当然のようにカラオケではなく、生演奏にこだわっている。「いろいろな曲がありますが、満員でノリノリの時などは、全体が高揚しています。しんみり口ずさむような曲だと静かな盛り上がりになりますよね。それぞれの人の息遣いに合わせて演奏ができるのが、生演奏のいいところなんです」。伴奏のメインはピアノだ。アンサンブルでアコーデオンやアコースティックギターが入ることもある。あとは、カホン(箱型の木製打楽器)でリズムを刻んで変化も楽しませる。ジャンルは、昭和歌謡、童謡唱歌、シャンソン、ロシア民謡など幅広い。「人って、楽しいことがあると、他人と共有したくなるじゃないですか。歌うことの楽しさや、音楽の共感とか、その場にいる人と分かち合えるんです。僕は店長として店にいますが、感覚的に、そういうことをすごく感じる時があります」

客の通った回数が書かれているマイボトル。上の数字は新宿時代、下の数字は高田馬場に移ってからの回数

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