クラシックを気軽に楽しめるレコード図書館

ビブリオ.クラシック 珈琲と紅茶(東京・雑司が谷)

retroism〜article186〜

 「ライブラリーカフェ。レコード図書館という意味合いで命名しました」

 東京・雑司が谷にある「ビブリオ.クラシック 珈琲と紅茶」店主の新倉裕之さんが説明する。ビブリオ(ビブリオティック)は、フランス語で図書館を意味する。図書館というだけあって、所蔵するレコードは1万2000枚以上だ。
レコードの最大の特徴は、肌に染み込んでくるような心地よい音を奏でることだ。香り高いコーヒーと共に味わえば、密度の高い上質な時間に包まれる。ビブリオクラシックには、そんな充実の空間が用意されていた。

「ありがたいことに、いいお客様がたくさん来てくださいます。女性の割合が多いかな」と新倉さん

 こぢんまりした店内が不思議と落ち着く。「ここにあるピアノと椅子以外、ステレオラック、キャビネット、スピーカーボックス、さらにアンプも、キットを買ってきて自分で組み上げたものです。つまりオーディオ系は、全部僕のハンドメード。統一感があるのはそのせいだと思います」棚は新倉さんの手作り。レコードが並んだ姿は不思議な美しさがある

 新倉さんは、某自動車会社でエンジン開発の仕事をしていたが定年で退職し、同店を開いた。6年半前のことだった。「オーディオは、自宅で使っていたものです。自作の機材を使って聴き始めたのは、35歳ぐらいの時で、ずっと同じものを使っています。土日は、音楽会に行ったり、帰りにレコード屋に寄ってアナログ盤を買ったりしていました。美術館にもよく行きました。週末は手に入れた図録を見ながら、音楽に浸ることが多かったですね」こだわりの糸ドライブ・ターンテーブル。ケースはかなり大きめに作られていて重厚感がある