クラシックを気軽に楽しめるレコード図書館

 「そのクオリティーは、デジタルでは出ないと思っています」CD(デジタル音源)が出る前、レコードとカセットテープが両立していた時代があった。「CDがカセットテープの代わりになると思っていました。でも、CDがレコードの代わりになった。僕はデジタル音源が主流になっていくのが不思議でなりませんでした」。新倉さんは、ほんの少し表情を曇らせる。

鉄のドアを開け閉めるのは、音楽スタジオで使う
ようなグレモンハンドル(グレモン錠)。音漏れ
 一切なし。外からの音も3重窓でシャットアウトだ

 クラシックこそアナログで聴くべきだと信じて疑わないのである。「レコードの音を聴きたいという気持ちは、別に懐かしさを求めているわけではありません。これが最高だと思っているからです。だって、音楽に求めるのは深い感動ですからね」。その「深い感動」は平成、令和の時代になってから薄れてきている気がしてならない。だからこそ、ビブリオ.クラシックのような店に真の価値があると言えるのだ。 かける曲によって、サウンド・フィールド・プロセッサーで音場まで調整する。まるで生演奏を聴いているような気分になれる

 店を始めてまだ6年半だが、新倉さんにとって、ベストな選択だった。「みなさん感動してくれるんです。その姿を見るとやって良かったって、改めて思います」。もちろん、今後も続けていくが、そこにも理由がある。「クラシックって、ハードルが高いと思われちゃっているところがある。『ここに入ってくるのに勇気がいる』ってお客様に言われることもあります」
(上)完璧に整理された、曲名のリスト。聴きたい曲を探しやすい工夫がなされている(下)初心者にも分かりやすく、興味を引くように分類されている