クラシックを気軽に楽しめるレコード図書館

 レコードを聴き始めたのは、小学生の時だった。「音楽鑑賞の時間に、先生がかけてくれたのが、『チャイコフスキー』の(弦楽四重奏曲第1番第2楽章)『アンダンテ・カンタービレ』でした」。一発で魅了され、早速同じレコードを個人的に入手する。「B面がシューベルトの弦楽四重奏第14番『死と乙女』で、そっちの方が気に入っちゃって、そこからクラシックにハマっていきました」

アルミ製のホーン型スコーカーには、デッドニングが施してあり、柔らかい音が出る仕組みになっている

 衝撃的な出会いだった。その時の新倉少年の胸に、経験したことのない何かが刺さったのだ。「子供ながらにバイオリンをはじめ、弦楽器の音、旋律から物語が感じられるような気がしたのを覚えています」。当時を思い出すように、新倉さんは遠い目をした。B面だったいうのも面白い。

新倉さんの趣味で選んだ店内の家具が、クラシック音楽にぴったりとマッチしている

 クラシックを聴くには「アナログレコード」に限ると、新倉さんは強調する。クラシックの音自体が他の音楽と違うからだと言う。「なぜなら全てが生音だからです。他の音楽では、必ずマイクを使っています。小さいライブハウスなどで聴くジャズにしろロックにしろ、マイクやアンプ、PA(PUBLIC ADRESS=音響機器)を通して観客に伝わります。一方、クラシックは、どんなに大きなホールでも、人の声や楽器は、マイクやアンプを通しません。だから、『音』のクオリティーが非常に高い。そんなものがデジタルで再生できるわけがない」と新倉さんは力説する。こちらも手作りのレコード針の収納ボード。なんだか真空管アンプっぽい