昭和の名曲「神田川」の世界をジオラマで再現

 対応していただいたお三方に「昭和とは?」と投げかけてみた。小倉さんは熱かった時代と言った。「昭和7年に豊島区ができてから今年でちょうど90周年。戦中戦後を通り抜けて発展してきて今があります。そうやって振り返ると、『発展の熱量』がいちばんあった時代だと感じますね」残されていた飾りを生かした和室の入り口

 文化デザイン課の武田健さんは、先人たちに目を向ける。「日本の発展は、昭和に頑張った私たちの先輩たちが礎を作ったと思っています。今の若い人の中には、昭和の文化に興味を持っている人もいます。例えば、『昭和レトロ館に散歩に行ってみよう』とか。今だと銭湯にあるケロリンの桶(おけ)が可愛いとか。皆さん昭和に注目していると思います」

話を聞かせてくれた(左から)小倉桂さん、秋山伸一さん、武田健さん

 秋山さんはしみじみ語る。「今は時間の流れ方が早い気がします。インターネットやメールを使えば瞬時にいろんなことを知り、連絡を取ることができる。人とのコミュニケーションツールとしては手紙の時代があって、固定電話の時代もあった。子供の時から過ごしてきた中で、昭和は、ちょうどいいスピード感だった気がします。若い人には、そういう時代があった上で、今の社会が成り立っていることを頭の片隅にでも入れて置いてほしいと思います」かつてはこの中で生鮮食料品などが売られていた。まさに庶民の台所だった

 昭和生まれの人たちと平成以降生まれの若い世代をつなぐ懸け橋となる「昭和レトロ館」は、歴史・文化を継承するうえでなくてはならない施設なのだ。

ときわそうどおりしょうわれとろかん
東京都豊島区南長崎3-4-10
📞:03-3565-6991
営業時間:午前10時〜午後6時(入館は午後5時半まで)
定休日:月(祝日の場合は翌平日)、年末年始、展示替え期間
入館料:無料

文・今村博幸 撮影・岡本央