昭和の名曲「神田川」の世界をジオラマで再現

トキワ荘通り昭和レトロ館(東京・南長崎)

retroism〜article181〜

 「一昨年前までは、南長崎ニコニコ商店街と言ってたんですが、その年の7月にトキワ荘マンガミュージアムがオープンして、それに合わせてトキワ荘通りと名前を変えました。トキワ荘があったこと自体が皆さんの自慢なんです」。東京都豊島区文化商工部文化デザイン課長の小倉桂さんが説明する。

神田川の歌詞の世界を再現した山本高樹氏によるジオラマ。突き当たりには横丁の風呂屋も

 同区南長崎周辺は、昭和のマンガ界のビッグネームが出入りしたトキワ荘があったことでも知られる。今年の11月3日には昭和の歴史・文化を次世代に継承し、地域の活性化につなげるために「トキワ荘通り昭和レトロ館」がオープンした。これらの施設がある商店街は、2年前からトキワ荘通りと呼ばれるようになった。商店街や町会の人たちが一丸となって「トキワ荘」を盛り上げてきた。今では、この辺りは昭和の風情を後世に伝える街へと「進化」を遂げてきている。3畳一間の小さな下宿で彼女の似顔絵を描く部屋主

 「昭和レトロ館」は、昭和20年代に建てられた戦後マーケット「味楽百貨店」をリノベーションした建物内にある。「よく残ってましたね」と話を向けると、昨年6月まで肉屋が最後の店として営業していたという。学芸員の秋山伸一さんが解説を加える。「時代により変遷はあると思いますが、地元の人に聞いたところ、2階には、パーマ屋(美容院)、1階部分は、八百屋、肉屋、乾物屋、果物屋、菓子屋、鶏肉屋が入っていたということです。スーパーマーケットが普及する前の形ですね」。一棟の建物に複数の店舗が入っていて、百貨店と呼ばれていた。飲み屋街。誰の顔も楽しそうに見える。酒の楽しみは昔も今も変わらない