エレガと屋上遊園地 お子様ランチに胸ときめかせ

 もう一つ忘れてならないのが、屋上にあった遊園地だ。大人にとっては買い物の疲れを癒やす場所であり、子供にとっては、もう一つのメインアトラクションである。「お子様ランチ」でおなかを満たされた後に遊ぶひとときは最高の時間でもあった。

 まずは、馬やパンダなどの遊具にまたがる。ゆらゆらと揺られながら、動物との一体感に夢をみたような気分になった。小さなメリーゴーラウンドは上下に揺れながらグルグルと回り、周りの景色が動いていく興奮があった。線路の上を走る汽車も定番だった。時代が進むと新幹線に変わったところもあったが、線路を走る列車は大人になった今でもワクワク感がある。高さもある観覧車は眺望も含めて子供たちの一番人気だったのではないだろうか。百貨店の屋上のそのまた上から見る景色は、スリルと爽快感を味わえる乗り物だった。一説によると、こういった遊園地は、全国に8箇所しか残ってないという。風を感じながら遊ぶ子供が少なくなったということか。

高島屋のマスコットキャラクター「ローズち
ゃん」。入り口で訪れた客を温かく迎える 

 近年、不況のあおりで各地の百貨店の閉店が相次いでいる。かつて百貨店は街のランドマーク的な存在であり、子供にとっては「特別な場所」だった。現在の百貨店といえば、家電量販店やファストファッションなどのテナントが入ったり、いつでも誰でも普段着で入れる場所に変ぼうを遂げた。いろいろな意味で、ずいぶん様変わりした。一番変わったのは、人との触れ合いなのかもしれない。復活させるのは難しいかもしれないが、かつての思い出だけでも人々の記憶の片隅に残ってほしいと願う。

文・今村博幸 撮影・JUN、SHIN