寅さん記念館(東京・柴又)
retroism〜article50〜
人生で必要なことはすべて「寅さん」で学んだ。
山田洋次監督は、「男はつらいよ」シリーズの中に、あらゆる要素を詰め込んだ。「人情」だとか「人の優しさ」は言うに及ばず、「業」までも彼はスクリーンの中に描いて見せた。映画全体を包んでいたのは、人間の営みに対するいとおしさだ。そんな山田監督の世界観をまとめ上げた、珠玉と呼びたい場所が、聖地の葛飾・柴又にある「寅さん記念館」である。ディテールにこだわり、造りが非常に凝っているのが、最大の魅力だ。
くるまや店内はリアルそのもの。椅子に腰掛ければ、くるまやの客気分になれる
撮影現場の様子をスタッフのパネルやビデオを使いながら紹介するところから、記念館は始まる。広報の井上月乃(つきな)さんが言う。「スタッフの人たちのチームワークは抜群だったみたいですよ。中には第1作から携わっていた人もいたそうです」。次のコーナーでは、寅さんの少年時代から、放浪の末、故郷・柴又へ戻るまでの物語がジオラマで紙芝居風に語られる。声は、妹さくら役の倍賞千恵子さんが担当した。
「帝釈天までの参道に並ぶ商店のジオラマは、松竹の美術さんが設計などを手がけてくれた、見応えのある場所です」と広報の井上さん
「男はつらいよの第1回は、寅さんが家出から帰ってくるところから始まるのですが、映画では生い立ちについては語られていません。小説になったり、2019年には、ドラマにもなったりしましたが、まとまって見られるのはここだけだと思います。山田監督の頭の中にあった寅さんの幼少期の物語を紡いであります」と井上さんは胸を張る。同時にその場所は、帝釈天の参道という設定だ。脇にあるおいちゃんの店「くるまや」へと続く。目玉であるくるまやの店内は、思わずニヤけてしまうほどリアルだ。それもそのはず、大船の撮影所からセットをそのまま移築したというのだから。店に入っていくと、映画の世界に入り込んでしまったような不思議な感覚に陥る。
寅さんのトレードマーク、トランクの中
身の全て。手前にはサイコロや花札も
コメント
寅さんの新作見に行きました。映画館のスクリーンに男はつらいよと文字が浮かんだ時、何故だか涙が出てきてしまって。。辛いとき苦しいときいつも「男はつらいよ」のDVDを繰り返し見ながら元気をもらって目の前の現実と戦ってきと気がします。寅さん記念館是非行ってみたいと思います。
レトロイズム〜retroism visiting old, learn new〜をご愛読いただきありがとうございます。
私も「男はつらいよ」シリーズの寅さんのセリフからいろいろなことを学びました。
ぜひ寅さん記念館に行ってみてください。