格式あるアカデミックな空間で非日常を味わう

 外観でもう一つ特徴的なのは、旧館に使われた、スクラッチタイル(縦方向に細い溝の入ったタイル)である。軒周りや窓枠飾りを簡素化。高橋氏が学士会館で目指した簡素質実、さっぱりしながら妙なクセのない建造物であることが学士会館で見事に表現されている。

旧館3階にあるチャペル。ステンドグラス越しの日差しで明るくかつ重厚感も漂う

 庄司さんは新館との関係にも触れる。「新館は旧館のデザインを踏襲して37(同12)年に造られました。旧館に敬意を表するため少し後ろに引っ込んでいます。同時にタイルを少し変えて明るく、かつフラットな表情を持たせています。『調和と対比』がデザインされた学士会館は、今や神田の重要な都市景観だと思います」。2003(平成15)年には国の登録有形核文化財にも登録された。

オープンスペースの読書室。歴史を感じさせる机や椅子。やわらかい外光で本を読む人がいた

 玄関は旧館側と、フロントに通じる新館にもある。「私どもは南玄関(旧館)、北玄関(新館)と呼んでいます」。元々旧館の出入り口がメインエントランスだったので、天井飾りや壁面装飾、階段の太い親柱など、質感豊かな見どころが多い。

長い時間だけが生み出せる、木の照りに感動する。傷さえも人の心をとらえて離さない

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