心に染みる名フレーズ 駄菓子も扱う牛乳店⁉︎

 内容は、たわいのない日常の出来事。難しい話はナシだ。「この歳になると、足が痛いとか腰がつらいとか、病気の話も多いよ。しまいには墓の話まで始まっちゃう」。そう言って梅原さんと常連がゲラゲラと笑った。「みんな子育ても終わってるから、のんびりしてもらって、笑って帰ってもらうのが私の特技。自慢だね。やっぱり笑わないとダメだよ。難しい話なんかしたって面白くないよ」

時節柄マスクも売る。子供に似合う可愛い模様や大人も使えるシックな柄まで、各種そろっている

 店の前にある大きなスーパーマーケットに買い物に行く前に、1人の常連が顔を出した。「これから買い物?」と梅原さんが話しかけると、うなずいて「後で寄るからさ」とさっそうと自転車を走らせた。これも当たり前の日常だ。しばらくすると、常連の一人である山田照子さんがやってきた。「山田さんは大先輩。ほぼ毎日来て自動販売機でお汁粉を買って飲むことが多いよね」。同じ日に数回来ることも多い。「昼来て、『もう半日過ぎちゃったね』と。また夕方顔出して、『もう1日過ぎちゃったね』って。そんな感じ。買い物のついでにね。ついつい寄っちゃう。『雨にも負けず 風にも負けず……』。宮沢賢治ですよ」。山田さんがそう言ってまた笑いが起こる。「常連はほぼ毎日来てるから、3日も来ないと病気じゃないかって心配しちゃう」

取材に入る時、梅原さんは、「常連呼びましょうか?」と言ったが、その必要は全くなく、自然に集まってきた。ちなみに犬も常連だ

 「若いですね」。筆者が振ると、山田さんは「何も考えてないから、若いのよ」と言った。みんながてんでにしゃべり始める。「私は、年金が出た月には子供たちにちょっとだけどお菓子を買ってプレゼントしてるの」「お金持ちだからね」「そう、家買うまではね。家買ったらお金が無くなっちゃうから、そしたら声かけないでって言ってるの」「コーシン牛乳おいしいんですよ。背が伸びないかなと思ってさ。よく飲んでますよ」「1週間来なかったら、死んだかなって、そのくらい通ってますよ」。常連たちの話は、果てしなく続くのである。 核家族化が進み、中高年の一人暮らしも増えた。13時間も誰ともしゃべってなかったと言ってくる客もいる。その人にとって、梅原牛乳店は救いの場所かもしれない。

クジで手に入れるさまざななサイズのスーパーボール。当たれば最も大きいのがもらえる。子供たちの狙いは、当然、特大ボールだ

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