舌と心が癒される昭和薫る故郷みたいな甘味処

 焼きそばも、思わず前のめりになる味だ。いわゆるソース焼きそばだが、ソースが普通に食べるソース焼きそばのとはまるっきり別物だ。もっとも当てはまるのは、上品という言葉だと思う。具がキャベツだけというのにも納得。それ以外、入れて欲しい具が見当たらないのだ。「麺は、ラーメンとは違う粉を使って打ちます。そして焼く前に蒸すんです」と中田さんが説明する。ラーメンとは違ううまみとモチモチとした食感は、そのひと手間のおかげである。何を食べても感心させられる。思わず、なんでこんなにおいしいのかと聞いてみた。中田さんがことなげに言う。「初代からの味を守っているだけなんですよ」

「この近辺に、うちを含めて「かどや」が3軒か4軒あった。よそと区別するために『甘味』をつけたんだ」と店主の中田さん

 この素晴らしい店を残していける原動力はどこにあるのか。「子供の頃来たとか、何十年ぶりに来て感動したと言ってくださるお客さんがいるからですかね。そんなお客様にとって、故郷のような存在になれたらいいなと思っているんです」

お釣りを出す機械はいまだ現役。実際に使ってみると本当に便利だ

 確かに、昭和にあった店の原点のような場所。まさに、心の故郷がかどやなのである。

かんみ かどや
足立区西新井1―7―12
📞03-3890-2360
営業時間:午前11時から午後5時半 (ラストオーダーは午後5時20分)
定休日:不定休 (水曜休みが多い)
文・今村博幸 撮影・柳田隆司

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする