レトロ建築探訪其ノ参

東京(原宿→外苑前→渋谷)


retroism〜article149〜

国立代々木競技場第一体育館(原宿)


国立代々木競技場第二体育館(原宿)

設計者は東京大学の助教授だった丹下健三、教授の坪井善勝は構造を、早稲田大学教授の井上宇一が設備をそれぞれ担当した。国指定重要文化財。
(上から順に)①第一体育館全景。建設当時どこにもなかった形の体育館。彼らが目指したのは、建築家の発想次第で、あらゆる造形の建物が作れる未来だったのではないか。独創的な形はそんなことを思わせる②大きな2本の支柱の間に渡された2本のケーブル(写真右上)によって天井がつるされている。ケーブルは、地面のアンカーで固定され、反対側のアンカーまで通されている。全く新しい、つり橋方式が採用されている貴重な建物でもある③ル・コルビジェから始まったモダニズムの中でも、構造表現上最高を目指した丹下たちの情熱が伝わる④ほとんどが曲線で構成された建物には、窓が多く配され光もふんだんに取り入れられる仕組みだ⑤第二体育館は、1本の支柱かららせん状に
つりパイプがかけられ屋根をつるす構造だ。シンボルは高い塔。想像を超えた上空を指し示すようにそびえている。1964(昭和39)年の東京オリンピック開催によって、日本が輝かしい未来を見据えていたことがうかがえる

コープ・オリンピア(原宿)

1965(昭和40)年に建てられた日本の億ション第一号。
(上から順に)①原宿駅の斜向かいに静かにたたずむ。原宿は昔も今も若者の集まる場所だが、そんな中にあって大人びた外観が逆に新鮮に見える②坂の下から見ると、斜めに向いた窓の一部が幾何学的なデザインを形作っている。採光のためにあえてギザギザの形をとったと言われている③「ユニテ・ダビタシオン」は、ル・コルビュジエが設計した、フランス・マルセイユにある集合住宅であるが、コープ・オリンピアのモチーフにもなっている。テーマは、「都市の中にある都市」だ。この建物の下層階にも、商業施設がいくつも入っている④グレータイルに覆われた美しい外観。高級分譲会社「東京コープ」の宮田慶三郎社長は、あるインタビューでこう答えている。「我々は作るのが楽しみで、地球に爪痕をつけ、それが後まで残るのが何よりの楽しみ」コープ・オリンピアは作られてから今年で57年が経った⑤入り口にあるマンションの名前が刻まれたプレート。重厚感のある筆記体で書かれたマンション名が懐かしい雰囲気を醸している