「女性の服装」から学ぶ昭和の世相と戦中戦後史

 ①「戦時下の女性と服装」では、日中戦争から第二次世界大戦終戦までをたどる。日中戦争以降、終戦後も物資不足は続く。軍人の制服も統制され、1942(昭和17)年には女性に向けて婦人標準服が作られて合理化が図られた。しかし浸透せず、女性たちの間で広まったのは、手持ちの着物を仕立て直したモンペだった。戦局の悪化とともに、女性たちはモンペが日常の服になったのである。

 ②「洋装文化の流入」は、戦後間もない頃の様子を紹介している。戦後も生活は苦しく、物資不足はしばらく続くことになる。女性たちは、いわゆる「たけのこ生活」を強いられた。手持ちの衣類と食料を農村に出かけていって交換するのだ。そんな彼女らにとって、進駐軍の将校夫人たちの着こなす洋装は、憧れと共に目に映った。やがて洋装の流行が始まる。軍服風のスーツや短いスカート、街にはアメリカンスタイルのファッションが見られるようになっていった。

和装を更生したもんぺ。上衣は和袖のまま更生されている。非活
動的かつ非経済的という観点から次第に筒袖が推奨された=戦中

 ③「大衆化の時代へ」では、洋装が大衆化していった過程を取り上げている。占領期も終わりに近づくと、活況を呈していく社会情勢と同調するように、「女性の服の大衆化」の兆しが見えてくる。同時に、女性の地位も向上していった。さらに経済統制が解除される中で、女性たちの服装は変わった。昭和30年頃になると、都市部で和装と洋装の着用率が逆転することになる。

 3月26日には、ワークショップ「巾着を作ろう!」、4月29日に「着せ替え紙人形を作ろう!」が開かれるほか、4月2、3日には同展の担当者による展示解説も行われる。

 昭和の世相や戦中戦後の時代背景などが見事に反映されており、「女性の服装」という切り口で昭和史を学ぶことができる、きわめて興味深い企画展だ。

 午前10時〜午後1時半(入館は午後1時まで)、午後2時〜同5時半(入館は午後5時まで)月曜休館。入場無料。問い合わせは03・3222・2577

【レトロイズム編集部】



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