昭和の子どもたちとお菓子の歴史をたどる企画展

昭和館(東京・九段下)

retroism〜article162〜

 お菓子――。いつの時代も子どもたちにとって、その響きは甘美そのものだった。

 江崎グリコの創業者・江崎利一氏は「子どもはいつも、オヤツとオモチャの世界にすんでいる」と至言を残した。明治製菓の有嶋建助氏は「子供からお菓子を取り去ることは不可能」と寸言した。つまり、両者は、切っても切り離せない関係にあるのだ。

 そんな日本における菓子の歩みを、戦前から戦中・戦後までていねいにひも解きながら紹介している企画展「お菓子の記憶 〜甘くて苦い思い出たち〜」が東京・九段下にある昭和館で開催されている。9月4日まで。

森永ミルクキヤラメルのポスター。日中戦争中の1939(昭
和14)年
のもので、パッケージには戦争色が強く出ている 

 内容は三つの章にまとめられていて分かりやすい。まず「プロローグ」では、現代菓子の黎明(れいめい)期から始まる。大きな変化をもたらしたのは、やはり文明開花だった。西洋文化が日本に入ってくると、洋菓子の製法が紹介され、和菓子から洋菓子へと転換期を迎える。子どもたちは、今まで食べたことにないハイカラな味に目を輝かせた。「主婦之友」(昭和9年8月号)には、付録として洋菓子のレシピをつけるなど、その人気は家庭内にまで浸透していく。

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