昭和の子どもたちとお菓子の歴史をたどる企画展

 「I.戦争とお菓子」においては、日中戦争〜第二次世界大戦によってあらゆる物資が減り、菓子が貴重になっていく過程を紹介している。常に戦争は、人々からさまざまなものを奪い去っていくのだ。米と同じように菓子にも配給切符が導入されるなど、最も楽しみだった菓子も配給制になってしまい、子どもたちの幸せにも影を落とすことになる。

「ギブミーチョコレート」。ジープ型の車を取り囲み、進駐軍の兵隊に菓子をねだる子どもたち=米国国立公文書館提供

 戦争が終わっても数年の間、その傷跡は残ることになる。「II.終戦を迎えて」で提示されているのは、さらに悪化した食糧事情である。当時の子どもたちは、菓子への渇望を味わった。

 菓子類価格統制が解除されたのが、1950(昭和25)年。その翌々年には砂糖や小麦粉の配給統制が撤廃され、菓子メーカーも復活の兆しが見え始める。新しい技術も導入され、子どもたちにもオヤツという平和が戻ったのだ。

1951(昭和26)年ごろの紅梅ミルクキャラメル。付録には、東京読売巨人軍のオマケカードが入っていた。大ヒット商品である

 昭和館ならではの非常に興味深い企画展。資料も豊富で見応えは十分だ。同館3階特別企画展会場。午前10時〜午後1時半、午後2時〜同5時半。毎週月曜休館(8月15日は開館)。問い合わせは03・3222・2577

【レトロイズム編集部】

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