じゃじゃ馬なジュークボックス

 ジュークボックスには、ロック、ブルース、横浜にちなんだ歌謡曲、あとは昔の名曲などが入っている。ラインアップは、あまり変えられないと笠井さんは言う。「最初にある程度決めちゃうと、この人が来ると絶対かける曲があるから、それは変えられないからね」。例えば常連の男性客のひとりが来ると、店のみんなにテキーラを振る舞う。その時にはチャンプスの「テキーラ」がかかって、みんなで一気飲みをするのが恒例だ。

BAR FACTORYの入り口は、最近のバーであまり見かけない自動ドア。開け閉め時は多少うるさめ

 中年の男性客が、ジュークボックスの前に立つと、ザ・タイガースの「花の首飾り」がかかった。曲を聞きながら、かつてマスターがある女の子に言った言葉を思い出した。初めて店に来たその女の子は、VネックのT−シャツを着ていた。 マスターは女の子の少し寂しそうな首元に視線を落として言った。「そこに首飾りをかけるのは誰だろうね」

 あれから7年の月日が流れた今、女の子は成長して大人の女になり、Vネックの首元にはきれいな首飾りがかけられ、まばゆい光を放っているかもしれない。

ばーふぁくとりー
横浜市中区曙町2-29
📞045・252・7715
営業時間:午後7時~午前1時
定休日:月
※2023年10月閉店

文・今村博幸 撮影・柳田隆司

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