みんなの憧れだった家電に見る昭和の暮らしぶり

新宿歴史博物館(東京・四谷三栄町)

retroism〜article112

 人と電気、それを駆動力とした家電との関わりを、歴史を通じて明確に表現している言葉が、企画展のパンフレットに躍る。まず「憧れのかたち」というタイトルが言い得て妙だ。さらに、「家電は昭和の重要パーツ」「昭和は家電のジュラ紀である」「高度家電成長時代」「一億総電化」など、まさにポンと膝を打つフレーズが並ぶ。そんな興味深い企画展「憧れのかたちー家電に見る昭和の暮らし」が、東京・新宿にある「新宿歴史博物館」で開催中だ。8月29日まで

企画展「憧れのかたちー家電に見る昭和の暮らし」の
パンフレット。かつて目にした家電のオンパレードだ

 展示は、銀座に照明として使われたアーク灯が輝いた約140年前の1882(明治15)年、その光り輝く電気を初めて見た一般の日本人の驚きから始まる。やがて明治の中頃になると、外国から多くの電気製品が日本に流れ込んできた。しかし当時は高価で、庶民が手にすることは難しかった。そこで、賢明な日本人は国産化を目指し、開発が進められた。国産第1号となったのは、電気扇風機。94(明治27)年のことだった。昭和に入ると、1931(昭和6)年に芝浦製作所が作った電気掃除機、東京芝浦電気が、真空管式のラジオ受信機41型を開発するなど、次々と国産の製品が登場したのである。


1930(昭和5)年製の電気冷蔵庫。庫内

温度は、4度以下というスグレモノだ

 技術は驚くほどの勢いで進歩し、インフラの整備に背中を押されるように、あらゆる家電製品が生まれていく。普及が本格化したのは昭和30年に入ってからだった。テレビ、洗濯機、冷蔵庫は「三種の神器」とも言われ、当時の人たちにとって、家電は、暮らしを豊かにするだけではなく、新しい時代のライフスタイルを手に入れる、まさに「憧れ」の道具となったのである。今回の企画展は、家電と「昭和の暮らし」を紹介しながら、日本人が振り絞った英知の歴史を垣間見ることもできる展示となっている。

1930(昭和5)年製の日本初の電気
洗濯機。洗濯物を絞るのは手動だった

 我々の暮らしに電気が欠かせないことは、誰でも熟知していることだ。しかし、空気のように、あまりにも存在が当たり前すぎるため、普段の生活の中では、つい忘れがちなのもの事実である。今回の企画展は、そんなことを改めて思い出し、暮らしと家電を考える絶好の機会になるだろう。 


昭和38年に東京・四ツ谷の公団住宅に住んでいたという設定の金子家(架空)の室内。当時、三種の神器と呼ばれた、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が揃そろっていた

 地下1階企画展示室。開館は午前9時30分〜午後5時30分(入館は午後5時まで)。休館日は7月26日、8月10日(火)、23日(月)。入場無料。問い合わせは同館学芸課(03・3359・2131)

【レトロイズム編集部】

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