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文豪も愛した昭和を象徴する小さな西洋旅籠

古(いにしえ)を疎かにしない思想をもち、1954(昭和29)年の創業以来、高き誇りを掲げ続ける。東京・お茶の水にある「山の上ホテル」はそんなホテルだ。建物の前に立っただけで伝わってくる圧倒的な存在感は、ロビーを通りレストラン、カフェ、そして客室に向かうごとに、心地良さとなって客に降り注ぐ。

みんなの憧れだった家電に見る昭和の暮らしぶり

人と電気、それを駆動力とした家電との関わりを、歴史を通じて明確に表現している言葉が、企画展のパンフレットに躍る。まず「憧れのかたち」というタイトルが言い得て妙だ。さらに、「家電は昭和の重要パーツ」「昭和は家電のジュラ紀である」「高度家電成長時代」「一億総電化」など、まさにポンと膝を打つフレーズが並ぶ。そんな興味深い企画展「憧れのかたちー家電に見る昭和の暮らし」が、東京・新宿にある「新宿歴史博物館」で開催中だ。8月29日まで。

昭和の音楽史に名を刻んだ巨星たちを悼む

今年に入って半年も経っていないのに、著名人の訃報が相次ぐ。名前を聞けば誰でも知っている多くの人たちが逝去した。命には限りがあり、我々人間を含めた動物、植物にとって死は避けられない。訃報に触れるたびに、「あっ」と声をあげ、「亡くなっちゃったか……」とため息をつかずにいられない。死は避けられないが、残した言動、もっと言えば「存在」を思う時、彼らの「生」がいかにかけがえのないものだったかを思わせる。

ドキドキ感が楽しい! 銀塩カメラで撮る幸せ

プロのフォトグラファー・赤城耕一さんは、フィルムカメラが大好きだ。 最初の出会いは、いとこが持っていた古いカメラを見せられたときだった。1959年に発売され74年まで製造され続けたロングセラー「ニコンF」である。「グラフィックデザイナーの亀倉雄策さん(1915ー97)が手がけた精悍(せいかん)なフォルムが印象的で美しかったのを覚えています」