早稲田大学レトロ研究会
retroism〜article130〜
ある物事や言葉に対しての受け取り方は人それぞれである。時代によっても意味合いが違ってくる。そんなことを改めて考えさせてくれたのが、「早稲田大学レトロ研究会」の面々である。
集まってもらったのは、現幹事長の吉武彩芽さん(2年生、20歳)。このサークルを立ち上げた前幹事長の牧野乃々華さん(4年生、22歳)。牧角朋紀さん(2年生、20歳)。長谷川晴香さん(2年生、19歳)である。
最近、昭和歌謡を聴く若者が増えたと言われているが、中森明菜の人気は根強いという
まず、牧野さんが口を開く。「早稲田(大学)には、昔の音楽に関する集まりがほとんどありませんでした。『さだまさし研究会』などありましたが、昭和に活躍したいろいろなジャンルの音楽、特に当時のアイドル好きが集まることのできるサークルがなかったので、自分で作っちゃいました」。最初にアイドルに触れたのは、子供の頃だと牧野さんは言う。「母親が、普通の人じゃないレベルでアイドルに詳しかったんです。家でも車の中でも当時の流行歌が流れていていました。私にとって、日常と言ってもいいぐらいでした」
お気に入りのシングルレコードを手にする牧野さん(左)と吉武さん。ダウンロードとかではなく、レコードで聴くことが重要なのだ
幹事長を受け継いだ吉武さんは、母親に連れていかれた1980年代の洋楽をテーマにした映画を見て興味を持ったとほほえんだ。「それから、ベスト盤などを聴くようになりました。今の音楽とその頃のものは全く違います。私にとって新鮮でした」。当時はレコード制作においても、フルオーケストラで演奏するのは、ごく当たり前だった。今では大物と呼ばれるミュージシャンもたくさん参加していた。吉武さんは洋楽を聴くうちに、日本のはどうだったんだろうと思い始める。そんなときに、母親に薦められたのが中森明菜だった。「女性として可愛いいなと思ったし、最初に聴いたのが『十戒』だったんですけど、あれだけ歌詞もメロディーも攻めた音楽があったんだと驚きました」。さらに、彼女は昭和アイドルの髪形にも興味がある。メルカリで購入した往年の明星ヘアカタログを見せながら、「いろいろ変遷があって、今は岩崎宏美さんカット、少し前はソバージュだったし、聖子ちゃんカットや明菜ちゃんにしてもらったりしたこともあります」
吉武さんが持参した古い明星ヘアカタログを掲げる長谷川さん(左)と、今となってはかなり衝撃的なツーショットの表紙の明星を手にする牧角さん