現役早大生もハマる 昭和アイドルの魅力とは?

 長谷川さんの意見も面白い。「(昭和に対する思い入れが強いレトロ研究会という文脈の中で言えば、自分のことを、『ちょっと昭和が好きな人』と捉えています」。昭和に対する「憧れ」もあるとメンバーは口をそろえる。癒やされるとも牧野さんは言った。「現代の人たちは、私も含めて疲れている人が多いと思うんです。一つの原因はデジタルかもしれません。若い自分たちでも昔を振り替えるときって、疲れたときが多い。私たちが子供の頃の音楽には、癒やされる何かがあるのではないでしょうか。当時の人たちは生でそれを聴いていたわけですよね。そういう意味での憧れはありますし、羨ましい気持ちもすごくありますね」。それを若い人が忘れないでほしいと思う。後世に伝えてほしいとも願う。

レトロ研究会に入ってから、喫茶店に行くようになっ
たという長谷川さん、「今では、どうせ行くなら、な
  るだけ昔からあるような店に行きたいなと思っています」

 牧野さんが首を縦に振る。「賛成です。明治大正の手紙とかを集めたりもしています。個人個人が街でどういう行動をしていたか、昔の写真が載っている資料を古書店で探して買ったりもします。それらを見ていると、引き継いでいきたい気持ちになります」。吉武さんがうなずく。「70年代とか80年代の曲の完成度の高さが好きですが、もし、私たちの子供の世代で消えていってしまうなら寂しいと思う。街でも再開発が盛んに行われていますが、ただ新しいものに置き換えるだけではいいとは思いません。昔の形を残しつつ、開発できる方法があったら素敵ですよね」。牧角さんも同じような考えを持つ。「昔の音楽や文化、建物が、自分が歳をとっていったときに、消えてしまうのではないかと思うとゾッとします。そんな不安を克服するためにも、こういうサークル活動だったり、どういう形でもいいから、次の世代に繋いでいくのは大切だと確信しています」

インタビューをしたのは、カフェに改装された元雀荘。かつての学生たちは、昼夜問わずここで麻雀を打っていたことだろう

 昭和の古き良きものを受け継いでいくことは、大人の責任であり、次世代を担う高校生や大学生たちの責務でもある。その重要性を意識するかどうかは問題ではない。結果的に「繋がっていく」ことが我々が生きていく上でのヒントに結びつくことは確かなのだから。

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文・今村博幸 撮影・JUN