レコードがもっと好きになる アナログ文化発信地
レコードは、ただ単に音楽を聴くための記録媒体ではない。日常を豊かなものにしていく一服の清涼剤でもある。「HMV record shop渋谷」のエリアマネジャー竹野智博さんが、レコードの魅力を語る。
visiting old, learn new
レコードは、ただ単に音楽を聴くための記録媒体ではない。日常を豊かなものにしていく一服の清涼剤でもある。「HMV record shop渋谷」のエリアマネジャー竹野智博さんが、レコードの魅力を語る。
人と人は言うに及ばず、人とモノもどこかで必ず繋がっている。めぐり巡っていると言ってもいいだろう。何気ない暮らしの中で、その不思議に、驚かされることもしばしばだ。
階段を上がり、店内に入っていくにつれて、特有の香りが強くなっていく。古本の匂いだ。
「タカラ湯」には、かつて下町に漂っていた風情が今もなお残っている。如実に表れているのが、男湯の窓外に作られた縁側と庭だ。庭には池が掘られて、大きな錦鯉が悠々と泳いでいる。
店の前で思わず立ちすくんだ。 朽ち果てて今にも崩落しそうな建物、「キタコレビル」。横に回り込むと見えてくる入り口から中に足を踏み入れると、何十年前に作られたのかかわからない錆(さ)びた階段や、改修されぬまま時の流れに委ねた空間が広がっている。
「三度の飯より車が好きだし、それは今でも変わらないねぇ」。 悠々と椅子に腰掛けた「Vintage Car Yoshino」の代表取締役・芳野正明さんは、そう言った。
38インチフルレンジ2発が縦に並ぶ巨大なタンノイのスピーカーが、レジ奥に設置されている。音の解像力と分離のよさは言うに及ばず、圧倒的な音の生々しさに、ずっとその前に立ち続けていたいという思いに駆られる。