きらめく宝石箱のような昭和がいっぱいの喫茶店

 30代の半ばを過ぎた頃、ふと考えることがあった。「昭和って素敵な時代だったなぁって。今と違った魅力があふれていました。ぬいぐるみや人形も可愛かったし、歌謡曲も心に刺さりました。テレビの中のスターたちは、とても華やかでしたよね」。昔を思い出すように金井さんは、目を輝かせる。

シンプルな内装に、昭和の時代の輝きが散りばめられている。テーブルにかけられた赤いギンガムチェックのも郷愁を誘う

「私が子供の頃は70年代で、青春時代がバブル期までなんですけど、その時代のものが楽しめる場所を作りたいと思うようになりました。雑貨屋をやろうか喫茶店を開こうか、などといろいろ考え始め、昔のものに出合えるスペースを提供したいという気持ちになりました」

 やがて、金井さんは長年の夢を叶えるべく仕事をやめ、2009(平成21)年に「喫茶 宝石箱」を開店した。喫茶店を選んだのは、家族で出かけた時の大切な思い出が、途切れることなく常に心に残っていたことも一つの要因だ。もちろん、どんどん新しくなっていく世の中に興味がなかったわけではなかった。80年代中盤から90年代にかけてデジタル社会へと変化していく。金井さんもその便利さを享受した。

アイドルの写真がついた髪留めがさりげなく。
シンプルだが、女子の心を激しく揺さぶった